生物の勉強法(その2)「解説を読んでも何を言っているのかわからない」の原因は?
さて前回は「ダメな勉強法のパターン」の1つを示しました。その中で、
次の4つの項目・・・
・・・をあげました。生物の成績を上げる(偏差値を60台の後半にのせる)には
これら4つを解決する必要があります。
今回は1.「解説を読んでも何を言っているのかわからない」の原因を
探ってみましょう。
原因①必要なことがまだ暗記し切れていません。
原因②生命現象が正しく理解できていません。
例えば、問題集の重複受精の解説に
「重複受精の利点は『胚乳に集められたエネルギーを胚発生に有効に利用できること』
である」。と書いてありました。これ、何を言っているのかわかりますか?
「胚発生に有効に利用できる」って何ですか? 何がどう有効なんですか?
まずは「①必要なことがまだ暗記し切れていません」からいきましょうか。
・種子の中には胚と胚乳が詰まっている。
・胚は植物体の赤ん坊である。
・その赤ん坊である胚が育って光合成を始めるまでに必要なエネルギー源が胚乳である。
つまり胚乳は、植物体の親が子どもである胚に持たせたお弁当のようなものである。
・胚乳はもともとは中央細胞という細胞である。
これらのことは暗記されていましたか? だいたい偏差値が50後半以上の人なら
知っていましたよね。
次に②「生命現象が正しく理解できていません」です。
・裸子植物では、卵細胞が受精しなくても中央細胞が栄養分を貯め込んで胚乳になって
しまいます。つまり子どもができなくても子どものためのお弁当を作ってしまうのです。
これは勿体ないですね(=エネルギーが効率よく利用されていない)。
そこで進化した被子植物では「卵細胞だけでなく中央細胞も受精する」ようにした
のです。すなわち、中央細胞は受精したときだけ栄養分を貯め込んで胚乳になるのです。
ちょっと中央細胞になった気持ちで考えてみましょう。卵細胞が受精したときだけ
(=子どもができたときだけ)胚乳になりたいわけです。でも、卵細胞が受精したかどうか
なんてわかるわけがありません。眼で見て確かめることもできないし、卵細胞が「私は
受精しましたよ」なんて教えてくれるわけでもありません。では、どうすれば卵細胞が
受精したことを知ることができるのでしょうか。それは自分も受精すればいいのです。
受精するには花粉からの精細胞が必要です。ということは、「中央細胞が受精した」と
いうことは「花粉から精細胞が送り込まれてきた」ということになります。とうぜんの
ことながら、卵細胞も受精したはずです。このように「中央細胞が受精した」という
ことは卵細胞が受精した(=子どもができた)という合図になるのです。だから中央細胞は
受精したときだけ栄養分を貯め込んで胚乳になる。このようにして子どもができたとき
だけ栄養分を貯め込んで胚乳を作るのです。
さあ、ではもう一度さっきの文を読んでみましょう。
「重複受精の利点は『胚乳に集められたエネルギーを胚発生に有効に利用できること』
である」。
意味、わかりますよね。「有効に利用できる」というのは、「裸子植物に比べて」
ということだったのです。
「生命現象正しく理解する」ってどういうことかわかってもらえたでしょうか。
このような「正しく理解する」を積み重ねていくと、問題集の解説の意味がよくわかる
ようになってきます。問題を解けなくても、解説の意味が分かれば力がついてきます。
次回は2「解説は分るが、どうしてそのことに気がついたのか?」の原因をさぐって
みますね。
☆前記の重複受精の説明は、大堀の参考書「大堀先生 高校生物をわかりやすく教えて
ください(上巻)」の526ページにもっと詳しく載っていますので、持っている学生さん
は確認しておきましょう。
☆代ゼミの大堀の講義は、このような「正しく理解する」内容がてんこ盛りです。
大堀の講義を受講する予定の学生さん、楽しみにしていてくださいね。