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生物の勉強法(暗記のしかた その5) 「正しく理解すれば暗記しやすくなる」

さっそくですが、次の例題を解いてみましょう。

やはり知識問題なのですが、できたでしょうか? 解答は①です。では前回に引き続き、血球を例にして暗記の方法について説明していきましょう。次の表を見てみましょう。

前回の表に「形」「核の有無」「はたらく場所」も加えました。これらも暗記事項なのですが、「正しく理解する」ことで「なるほど~」となり、記憶に残りやすくなります。

●まず赤血球からいってみましょうか。

赤血球の形は円盤状です。それは成熟する過程で“脱核”するから。細胞内の大きな構造がなくなってしまうわけですから、ぺしゃんとつぶれて円盤状になります。

ところで、血管の中で最も細いのは毛細血管ですが、どのくらい細いか知っているでしょうか? 5~20μmです。だいたい7μmくらいのものが多いのですが、そうすると、毛細血管のうち直径が7μm未満のものは赤血球の直径より細いことになります。では、赤血球はどうやって通り抜けるのか?と思いますよね。1個1個変形しながら通り抜けていくのです。このとき、核がないので変形しやいわけです。

●次に白血球です。

・「赤血球は7μm」と覚えておいて、「白血球はその1~3倍」と覚えるんでしたよね。でも、白血球はどうして「1~3倍」と幅があるのでしょう? それは白血球の種類が多いからです。白血球の定義は「血球のうち、赤血球でも血小板でもないもの」です。つまり、寄せ集めなのです。だから種類も多く、30種類くらいあります。すると、小さいものから大きいものまであって「1~3倍」という幅になるのです。なお、白血球のうちリンパ球は6μm、つまり赤血球とほぼ同じ。好中球は赤血球の2倍くらい、マクロファージや樹状細胞は3倍くらいです。

・白血球の寿命はあまり問われません。だからそれほど暗記しなくてもいいのです。では、どうしてあまり問われないのでしょうか? それは白血球によっていろいろだからです。いろいろなので出題されないわけです(好中球なら1日、B・T細胞が記憶細胞となった場合には年単位の寿命となります)。

・次は白血球の形とはたらく場所の説明です。白血球は、血管の中でも外でもはたらきます。血管の外は「組織」と表現されますが、病原体は血管内よりもまず組織中に侵入してきます。ですから血管内にいるだけでははたらきようがありませんね。そこで白血球は血管の壁の隙間をすり抜けて血管の外に出ることができるのです。

すり抜けるわけですからアメーバ状です。アメーバ状ということは形が決まっていない、つまり不定形です。このように、「はたらく場所」と「形」には密接な関係があったわけです。

●最後に血小板を見ていきましょう。

血小板は小さいです。ではなぜ小さいのかというと、それは巨核球という細胞の断片だからです。

断片だから核もないし形も定まっていない、つまり不定形というわけです。ということは、血小板は「小さくて核がなくて不定形」と暗記するより、「巨核球の断片」と一言覚えておけばよくないでしょうか? 暗記量を減らせますよね。

こんなふうに、なぜそうなのか? どうしてそうなのか? というように正しく理解していると知識が定着しやすくなります。

なお、選択肢の④に「毎日新しく誕生する」とありますが、白血球に限らずすべての血球は毎日新しいものが骨髄で誕生しています。これも暗記事項です。

☆代ゼミの大堀の講義では、ただ「これを暗記しろ」ではなく、どうしてそうなのか? なぜそうなのかもバンバン説明します。受講予定の学生さん、楽しみにしていてくださいね♪

☆参考書「大堀先生 高校生物をわかりやすく教えてください(上巻・下巻)」でもそのように説明しています。ぜひ活用してください。