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生物の勉強法 第5話 「ひらめき力」って何だろう?

さて、今回は次の4つの項目の…

3.「これは暗記事項なのか? それとも、その場で考えて解くのか?」ですね。

皆さんは問題を解いていて「こんなことまで暗記しておかなくてはならないのかなあ? こんなの教科書にも資料集にも載ってないし…」と思ったこと、ありますよね。その原因は

①必要事項が暗記し切れていない。

②ひらめき力が不足している。

となります。

 

さて、②「ひらめき力」って何なんでしょう? では例のごとく次の問題を解いてみましょう。

問1 副腎髄質は何胚葉由来か答えよ。

問2 リンパ球の1つであるB細胞は核の割合が大きく細胞質がほとんどない。しかし、ヘルパーT細胞によって活性化して抗体産生細胞になると細胞質が発達する。このとき、特にどのような細胞小器官が発達するか答えよ。

問3 「ミドリムシは収縮胞を持っている」は正しいか、正しくないか。

問4 渦鞭毛藻は葉緑体を持った単細胞生物(原生動物界)である。渦鞭毛藻類の葉緑体は、一般的な植物細胞が持っている葉緑体とどう違うか説明せよ(問3の解説をヒントにしてひらめきの練習をしてみてください)。

 

問1

だいたい教科書・資料集・参考書に載っている胚葉由来は…

・・・ですよね。そうです。副腎髄質が何胚葉由来かは載っていませんね。じゃあ、これ、どうするのでしょうか? 「ひらめき力」で解くのです。では、「ひらめき」って何でしょう? それは…

 

 

 

・・・となります。つまり知識がなければひらめきようがないわけですね。やっぱり生物は暗記科目なわけです。

では、ここではどんな知識とどんな知識をくっつければ解答を導くことができるのでしょうか?

まず、副腎髄質は何をするところでしょう? それは「アドレナリンを分泌するところ」ですよね(←これは暗記しておくべき事項です)。ここで、「そういえばアドレナリンって、ノルアドレナリンとどう違うの」って思ったことありませんか? ノルアドレナリンは「神経伝達物質の1つ」ですよ(←これも暗記しておくべき事項)。実はアドレナリンとノルアドレナリンはかなり似た物質です。その作用も似ています。で、神経細胞は外胚葉由来ですよね(←これも暗記しておくべき事項)。ここから…

「神経細胞は外胚葉由来でノルアドレナリンを分泌する」→「ということはノルアドレナリンと似た物質を分泌する副腎髄質は神経細胞と同じ胚葉由来なのではないか?」とひらめくわけです。

解答:外胚葉由来

 

さて、ここまでくると、そうですよね。「じゃあ副腎皮質は?」って、なりましたよね。副腎皮質は何胚葉由来でしょう? ひらめくでしょうか? やり方は副腎髄質の場合と同じですよ。解答は次回のお楽しみ♪ それまでに考えてみてください。

 

問2

これもやはり教科書・資料集に「抗体産生細胞では〇〇という細胞小器官が発達している」なんて書いてありません。やはり「ひらめき」で解くのです。さあ、やってみましょう。

「抗体産生細胞は抗体を分泌する」→「抗体はタンパク質でできている」→「分泌用のタンパク質は小胞体に付着したリボソームで合成され、ゴルジ体で修飾されて、エンドサイトーシスによって分泌される」…と知識がつながるはずですが、どうだったでしょうか?

解答:リボソーム・粗面小胞体・ゴルジ体が発達する。

 

問3

これは少しハイレベルな知識が必要ですが、やってみましょう。

単細胞生物は「濃度差」が脅威である。これは前回説明しましたね。侵入してくる水で破裂してしまう。それを防ぐのが細胞壁でした。ところが単細胞生物なのに細胞壁を持っていないものがいます。その例は? そう、ゾウリムシですね。ではゾウリムシは破裂対策はどうしているのでしょう? そう、入ってきた水を収縮胞で汲み出しているのですね。 つまり、「単細胞生物は破裂対策を持っている」→「それは細胞壁か収縮胞だ」→「じゃあ、ミドリムシはどっちだ?」

・・・と、思考していくことになります。さあ、あと一歩ですね。ミドリムシに細胞壁はあるのか?ないのか? まあ暗記しておくしかないのですが、暗記の方法というものがあります。次の図を見てみましょう。

5界説の図ですね(←もちろんこの図も暗記しておくべき事項)。この図、いろいろと暗記に使えるのですよ。今回は細胞壁を持つものの暗記法。

暗記のしかたの1つに「少ないものを覚えておいて、あとはこれ」というのがあります。つまり、細胞壁を持っていない生物の方が少ないので、そちらを覚えてしまうのです。細胞壁を持っている生物はその残りの生物たちということになります。では、誰が持っていないのかというと、“動物”がつく生物たちです。つまり「動物界」と、原生生物界の「原生動物」のグループです。あとはみんな細胞壁を持っているので暗記する必要はありませんね。

 

 

すると「そうか、ミドリムシは藻類だから細胞壁があるんだな」と思ってしまいますが、ちょっと待った。物事には例外がつきものです。実はミドリムシ、藻類なのですが細胞壁を持っていません。ではなぜ持っていないのでしょうか? それはミドリムシはどうやらもともと原生動物だったらしいのです。だから細胞壁がない。それが単細胞藻類を取り込んで葉緑体にしてしまった。光合成をするようになってしまったので、定義上原生動物に入れられない。そこで藻類に編入となったわけです。これはツノモなどの渦鞭毛藻類も同じです。それが証拠にミドリムシや渦鞭毛藻類の中には光合成をするくせに他の生物を捕食するものもいます。しかも両者とも鞭毛をもっていて動き回るし(←光合成をする生物らしくないですね)。というわけで、次のようにひらめくことになります。

「単細胞生物は破裂対策を持っている」→「それは細胞壁か収縮胞だ」→「ミドリムシは細胞壁がない」→「ミドリムシは収縮胞を持っているはずだ!!」

 

問4

一般的な植物の葉緑体と渦鞭毛藻類の葉緑体の違い? いったい何を書けばいいのでしょう? まず一般的な植物の葉緑体の特徴は? まあこんな感じですよね。

重要な特徴は、外膜と内膜の「二重膜である」ことですね(←もちろん暗記しておくべき事項)。このように「この細胞小器官は粒子構造か、膜構造か? 膜構造なら一重膜構造か、二重膜構造か?」はよく問われます。で、葉緑体は二重膜構造なのですが、どうして二重膜なのでしょうか? そう、もとはシアノバクテリアだったから。それが別の細胞に取り込まて葉緑体となったからですね。取り込んだ方の細胞の細胞膜とシアノバクテリアだったときの細胞膜の、合わせて二枚の膜でできているわけです。これと問3の解説の内容を知っていたならばひらめくはずです。問3のどの部分か? それは渦鞭毛藻類が「それが単細胞藻類を取り込んでそれを葉緑体にしてしまった」の部分。さあ、これでひらめきましたか? 単細胞藻類を取り込んでそれが葉緑体となったとき、その葉緑体は何枚の膜でできていますか? 図を描いて考えてみると…

 

そう、四枚ですね。だから葉緑体は四重膜構造になるはずですね。ただし、どうしたわけか実際には三重膜構造~五重膜構造までいろいろあるのです。まあ、このへんは諸説あるのでここでは省略。なお、この問4はひらめきの練習なので、そこまで答えられなくてもOK。

解答例:一般的な植物の葉緑体は二重膜構造だが、渦鞭毛藻類の葉緑体は二重膜になっていない。

☆「大堀の参考書「大堀先生、高校生物をわかりやすく教えてください(上巻・下巻)」を持っている学生さん、読んでいて「何か知識がつながるなあ」って感じがしませんか? それは「ひらめき力」がついてきている証拠ですよ(^0^)/

☆代ゼミの大堀の講義では、このような「ひらめき力」の練習を知らず知らずにうちにさせられていきますよ。大堀の講義を受講する予定の学生さん、楽しみにしていてくださいね♪