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2020年1月実施 センター試験「生物」解説

みなさん、こんにちは。センター試験が終わりました。結果はどうだったでしょうか?

この大堀も問題を解いてみたので、ちょっと解説してみます。

急いで作成したので、あとから訂正箇所が出てくるかもしれません。

その辺はよろしくお願いします。

 

全体的な感想

全体として、例年に比べて少し雰囲気が変わったかなあという感じ。

実験考察問題も、決して難しくはないですが、より“しっかりしてきた”感じを受けました。

細かい分析はhttps://sokuho.yozemi.ac.jp/center/bunseki/1312956_2188.htmlに譲りますね。

 

第1問

A 遺伝情報の発現

問1・2 オペロン説の内容が頭に入っていれば余裕の知識問題。

問3 ヒストン・基本転写因子・スプライシングなどの内容が頭に入っていれば余裕の知識問題。

B 細胞分裂

問4 典型的な細胞周期計算問題。

次のことを知っていれば解けるはず。

   ●細胞周期=細胞の数が2倍になるのにかかる時間

問題文中の次のことがわかれば解けるはず。これは国語力かな?

   ●「凝集した染色体を持つ細胞が10%」=「分裂期の細胞が10%」

問5 入試によく出るグラフ 

   ●A=G1期・B=S期・C=G2期+M期

 

第2問

A 発生と遺伝情報の発現

問1 イ・ウの現象は卵割に限ったことではないね。

問2 実験考察問題

  ●cから「赤卵片と黒卵片のどちらかが表皮、どちらかが筋肉を分化させる」

   ということがわかり、これとb「赤から表皮が分化する」ことから「黒卵片

   が筋肉に分化する」と推定できる。  

   よって、bとcは必須。おそらく、ここまでは分かった学生が多いであろう。

  ●しかし、bとcだけでは、「赤卵片と〇卵片をくっつければ表皮と筋肉が

   できてしまうかもしれないので(筋肉ができるのに黒卵片は必要ないかも

   しれない)」ので、その可能性を除去するためにdが必要となる。

問3 実験考察:簡単♪

  ●実験1:黒卵片には筋肉に分化するのに必要な物質が含まれていることがわかる。

   で、実験2より、その物質はタンパク質ではないことがわかり、さらに、実験3より、

   その物質はRNA  らしいことがわかる。実験4は実験1~3の対照実験である。

B 花の形成(A・B・Cモデル)

問4 教科書に載っているA・B・Cモデルが頭に入っていれば余裕。

問5 オ・カを埋めるための文がちょっとわかりにくい。

   「減数分裂に入る前の」とあるが、これがG1期を指すのであれば「オ」は「1倍」、

   G2期を指すのであれば「1/2」となる。しかし、「オ」の選択肢に「1/2」は

   ないので「1倍」となり、「減数分裂に入る前」とはG1期のこととなる。

   これに従って「カ」は「1/2」となる。仮に、「減数分裂に入る前」がG2期ならば、

   「カ」は「1/4」となるが、選択肢に「1/4」はない。

 

第3問

A 動物の反応

問1 ピントの調節の知識問題。

問2 神経に関する知識問題。

問3 実験考察問題。:大堀求の冬期講習会講座を受講した学生は瞬殺できたのでは?

   触角は主に匂い(フェロモンなどの化学物質)を受容する装置であること。さらに、

  匂いの発生源の方向は2本の触角があってはじめてわかるという説明をおこなった。

  この問題では、性フェロモンの発生源であるメスがいる方向は、触角が2本ないと

  わからないことになる。

B 植物の反応

問4・5 実験考察問題。

   実験5・6から変異体Cは「アブシシン酸を合成できるが、受容することができない」、

   変異体Dは「アブシシン酸を合成できないが、受容することはできる」ことがわかれば

   あとは余裕。

問6 発芽に関する植物ホルモンの知識問題。

 

第4問

A 生態系

問1 よく出る「アブラムシとアリの関係」

問2 「絶滅の渦」などを勉強していれば余裕の知識問題。

問3 知識問題。昆虫の社会では、カーストが固定されている。哺乳類や鳥類の場合は“下剋上”がある。

   ただし、昆虫のカーストは女王・王・ワーカー・兵隊であり、「ヘルパー」はない。

 

B 物質収支

問4 総生産量・純生産量の内訳を知っていれば簡単な知識問題。

問5 実験考察問題。簡単なグラフの読み取りである。

 

第5問

A ハーディー・ワインベルグの法則

問1 簡単な知識問題。突然変異のほとんどは有利・不利のない中立なもので、自然選択は作用しない。

  しかし、遺伝的浮動によってある遺伝子は増加し、別の遺伝子が減少るということが起こる。

問2 Wの遺伝子頻度がp、wの遺伝子頻度がqとすると、WW:Ww:ww=p:2pq:q

  であることを知っていれば簡単。

問3 一般に非同義置換が起こると、その遺伝子からできるタンパク質は機能が低下する。

  それが重要な遺伝子だった場合、そのような変異遺伝子を持った個体は生き残らない。

  つまり、そのような変異遺伝子は集団中に広まらない。これが遺伝子X(0.0)

  逆に重要でない遺伝子であれば、その変異は集団中に広まる。これが遺伝子Y(0.6×10-3)

  残りの遺伝子Zの重要さはXとYの中間ということになる。

B 植物の進化

問4 知識問題。

    植物はコケ(ゼニゴケ・キンゴケ)→シダ(ワラビ)→裸子(アカマツ)→被子(ハス・アジサイ)

   順に進化してきた…ということを知っていれば楽勝。

問5 知識問題。

    コケ(維管束なし・枝分かれなし・オルドビス紀?に出現)

   →クックソニア(維管束なし・枝分かれアリ・シルル紀頃に出現)

   →リニア(維管束あり・根茎葉の区別なし・デボン紀ころ出現)

   →シダ(維管束あり・根茎葉の区別アリ・デボン紀ころ出現)

   ということと、ワラビがシダの一種である子をを知っていれば、

   図1の目盛りから答えが導き出せる。

問6 計算・実験考察問題。

  「0分」では、植物体の全体の重さが100。含水率が8%だから、水の重さが8、

  水以外の重さが92。で、この水以外の重さの「92」は、45分も90分も135分も

  180分も変わらない。ずっと「92」のままだ。あとは吸った水で重さが増える。

  「45分」では全体が205。そのうち水以外は92。よって水は205-92=113。

  よって、含水率は113÷205×100。これを「90分」でもやってみると、

  60%台になるはず。

 

第6問 遺伝子の発現

問1 実験考察

実験1:末尾の7つのアミノ酸は、酵素活性とは無関係であることがわかる。

実験2:末尾の7つのアミノ酸は、酵素をぺるオキシソームに輸送するのに必要とわかる。

問2 実験考察

   リード文の「酵素X1の末尾の7つのアミノ酸の部分が、酵素X2では別の2つのアミノ酸に

   なっている」とある。これを「酵素X1とX2では、末尾のアミノ酸はどちらも7個だが、

   アミノ酸配列が2つ違う」と読み取ってしまうと、解答不能となってしまう。これは、「酵素X

   1の末尾は7つのアミノ酸でできているが、酵素X2は、2つのアミノ酸からなっている。つまり

   アミノ酸が5個少ない」ということ。

   これがわかれば、終始コドンから数えて塩基が21個(アミノ酸7個分)あるmRNA-Aが

   酵素X1のもの、終始コドンから数えて塩基が6個(アミノ酸2個分)あるmRNA-Cが

   酵素X-2のものとわかる。国語力の問題でもある。

問3 知識問題

   フィトクロムは赤と遠赤、フォトトロピンは青を受容する。

   レタスの発芽(光発芽種子の発芽)といえばフィトクロムであることを知っていれば楽勝。

 

第7問 進化

問1 知識問題。

   環境中に酸素が増加したのはシノアバクテリアが原因。

   よって、アはシアノバクテリア(酸素発生型の光合成をおこなう生物)のこと。

   ちなみに、酸素を発生させない光合成をおこなうのは光合成細菌。

   紫外線を吸収すると言えばオゾンである。

   エディアカラ生物群は、どうも動いているのか動いていなかったのか定かではない㎡のが多いので

   「動物群」ではなく「生物群」なのだ。

   エディアカラ生物群の特徴は「でかい」「やらかい」「平べったい」である。

問2 知識問題。

  節足動物は旧口(原口が口になる)で、また環形動物と同じく体が節状だ。

問3 知識+考察問題。

  植物(シロツメクサ)と緑藻(アオアオサ)はクロロフィルaとbを持ち、

  褐藻(アラメ)はクロロフィルaとcを持ち、紅藻(マクサ)はクロロフィルaのみ…

  ということは知っておこう。

  それから持っているクロロフィルが

  おなじであれば類縁関係が近いということも知っておこう。「エ」は図を読み取れば正解できる。