生物の勉強法(暗記のしかた その4) 「最も重要なものを細かく覚える。残りのものはそれと比べてどうなのか?」
次の例題を解いてみましょう。
さて、分かったでしょうか? 解答は②。ただの暗記問題ですね。覚えていればできるし、覚えていなければできない。ただそれだけです。ところでこの問題は赤血球のことを聞いているのですが、他の血球、つまり白血球や血小板の数値も暗記しておかなくてはならないのでしょうか? もちろん暗記しておかなくてはなりません。次の表を見てみましょう。
教科書・資料集などによく載っている表ですね。ではこれらをどう暗記するのでしょうか? 「赤血球の大きさは7~8μm、白血球は6~24μm、血小板は2~4μm…」というよに覚えるのでしょうか? だったらいちいちこのサイトで書きませんよね。まずは最も重要な血球を覚えるのです。
では、赤血球・白血球・血小板のうち、最も重要な血球は何でしょうか? 次のように考えればわかるはずです。
「いま、血小板が体内から消え去ったらどうなるでしょうか?」。そう、血管が破れたときその部分がふさがらなくなりますよね。破れ方にもよりますが、出血多量で死ぬ可能性もあります。でもとりあえず、血管が破れるまでは生きていけますよね。
では「いま、白血球が体内から消え去ったらどうなるでしょうか?」。そう、病原体が侵入しても排除できなくて死んでしまうかもしれません。でもとりあえず、病原体が侵入して来るまでは生きていけますよね。
では、「いま、赤血球が体内から消え去ったらどうなるでしょうか?」。赤血球がなくなると体内の細胞たちは酸素を受け取れなくなります。ですからほぼ即死(特に脳の神経細胞が大きなダメージを受けます)。おそらく5分ともたないでしょう。
ここまでくれば赤血球・白血球・血小板のうち、最も重要な血球はどれかわかりますよね。赤血球ですね。赤血球は今、この瞬間を生きるのに必要な血球です。白血球と血小板はこれから先も生き続けるのに必要な血球です。
というわけで、赤血球が最も重要。入試でも最も出題されます。まず赤血球の数値は細かくしっかり覚えるのです。ただし、ちょっと注意。「赤血球の大きさは7~8μm」なんですが、7も8もそんなに違いはないですよね。だったら「赤血球の大きさは7μmくらい」でよくないですか? 7より8が好きなら「赤血球の大きさは8μmくらい」でもいいです。同様に「数は500万個/m㎥くらい」、「寿命は100日くらい」とキリよくいきましょう。ちなみに、個数の単位は重要ですよ。「個/m㎥」ですからね。
では、他の血球はどうしましょうか? それは「最も重要な赤血球と比べてどのくらいなのか?」と覚えるのです。
白血球なら「大きさは赤血球の1~3倍くらい」と覚えます。そして個数ですが、赤血球は「百万の位」でしたね。それに比べて白血球はめちゃくちゃ少なくて「千の位」です。3500~9000なんて覚えなくていい、これで十分です。というわけで「白血球の個数は数千個/m㎥」と暗記しましょう。なお、寿命については次回説明します。
同様にして、血小板なら「大きさは赤血球の半分以下・個数は数十万個/m㎥、寿命は赤血球の1/10」という具合です。
というわけで、今回は「最も重要なものを細かく覚えて、残りのものはそれと比べてどうなのか」でした。次回は、同じく血球をテーマにして「正しく理解すれば暗記しやすくなる」というお話です。お楽しみに。
☆代ゼミの大堀の講義では、ただ「これを暗記しろ」ではなく、どうしてそうなのか? なぜそうなのかもバンバン説明します。受講予定の学生さん、楽しみにしていてくださいね♪
☆参考書「大堀先生 高校生物をわかりやすく教えてください(上巻・下巻)」でもそのように説明しています。ぜひ活用してください。